“もう、お茶の水。プラットフオムに降り立ったら、なんだかすべて、けろりとしていた。いま過ぎたことを、いそいで思いかえしたく努めたけれど、一向に思い浮かばない。あの、つづきを考えようと、あせったけれど、何も思うことがない。からっぽだ。その時、時には、ずいぶんと自分の気持ちを打ったものもあった様だし、くるしい恥ずかしいこともあった筈なのに、過ぎてしまえば、何もなかったのと全く同じだ。
いま、という瞬間は、面白い。いま、いま、いま、と指でおさえているうちにも、いま、は遠くへ飛び去って、あたらしい「いま」が来ている。ブリッジの階段をコトコト昇りながら、ナンジャラホイと思った。ばかばかしい。私は、少し幸福すぎるのかも知れない。”
(太宰治『女生徒』より)
拝啓
はじめまして、即興/SOKKYOUから生まれた娘です。
センス オブ ワンダー。
どうかゴ贔屓ニ
敬具
2017.7.31 台風五号が近づく東京、夏の 真ん中
娘